泌尿器癌に対する新規薬物治療開発に関する研究
当教室では、泌尿器癌に対する新規薬物治療の開発を基礎研究のテーマの一つとして取り組んでいます。特筆すべきは当教室教授の三宅が留学時代に開発したclusterinを標的とした第二世代のアンチセンスオリゴであるcustirsenが、去勢抵抗性前立腺癌を対象とした二種類の第三相臨床試験の実施にまで至ったことです。残念ながらcustirsenによる有意な予後改善効果を証明するには至りませんでしたが、まさにトランスレーショナルメディスンの実践と呼ぶに相応しい成果を収めることが出来たと考えています。現在も引き続いてcustirsenの効果を、分子標的薬との併用で腎細胞癌モデルにおいて解析しています。また、この他にも最近実臨床の場にも導入されつつある抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体等のI-O drugと、分子標的薬あるいは抗癌剤等との併用療法の有用性を、各種泌尿器癌モデルを用いて精力的に検討しています。